さて。
ある日の暮れのことである。夕日が穏やかに沈み、夜が始まった。秋も深まりずいぶんと涼しく感じられる。Kは散歩を終えて、ゆっくりとした湯を楽しんだ。汗もたくさん出した。ああいい気分だ、と上がり、待ちわびていた炭酸水を飲もうとする。ゆっくりとした動作で、愛犬をなでるようにコップを手に取った。
なんと!黒いヤツが現れたではないか!
これは少々驚いた。まさかコップの中から出てこられるとは!
(Kは小さいころ、靴下を履いたら、そのなかにカメムシがいたことがあったがwちなみに方言でヘクソムシwものすごく足が臭くなったw)
しかも割と動きがゆっくりである。のそのそとシンクを横切り、冷蔵庫の下に隠れたではないか。野郎。勝負を私に挑んでおるのだな。お望み通り戦ってやろうではないか。。。Kは久しぶりに闘争本能に火が付いた。
悪いがコックローチよ、貴様は圧倒的不利なのだ。なぜならミニマリズムによって私の部屋はほとんど物がない。つまり隠れる場所がないのだ。冷蔵庫の周りも壁のみである。冷蔵庫にしたってそんなに大きくなく、140センチほどである。野郎!と電子レンジをどかし、冷蔵庫を傾ける。
コックちゃんはこそこそと出てきよる。私の武器は洗剤のみ。しかも意外に残りが少ない。いささか頼りないが仕方ない。人生だってそうではないか。配られたカードで勝負するしかないのさ。スヌーピーだって、アイシールドのヒルマだって言っていたではないか。
プシュンプシュンと洗剤をかける。やる気のないプール掃除のように。上から押すタイプなのでいまいち勢いが足らない。しかし当たった。びっくりしたのか一気にまた冷蔵庫の下に隠れやがった。
もう一度冷蔵庫をひょいと持ち上げる。今度はやつは反対方向に行った。そっちは壁である。もう逃げ場はないのだよ。残念ながら。狙いをさだめ、10回ほど噴射する。ひっくり返って暴れた末に、絶命したようだ。
仕方ないのだ。私だって殺生はしたくない。しかし、そちらが人の家に勝手に入ってきている以上、わたしは自分を守るために戦わねばならないのだ。自分に害をなす敵には戦わねば。だから文句は言えまい。
なんとか処分する。そして100円を冷蔵庫の下に見つけたwきっとゴキちゃんが教えてくれたのだろう。
そして電子レンジも新しいものを買うことにした。冷蔵庫の上に載っていたものをいったんどかしたのだが、ものすごく汚れていたのだ。これももう16年選手である。だからもう引退してもらおう。
19歳の時に、大学進学の時に、実家に買ってもらった電子レンジ。オーブン付きのよいものだった。毎日使ったし、パンも焼いたし、グラタンなんかも出してくれた。とても感謝している。どうもありがとう。そして今おつかれ様でした。
さっそくアマゾンで新しいものを購入した。きっとあの五木ちゃんも、このきっかけを作ってくれたのだろう。だからこの新しいレンジは、このゴキちゃんの思い出とともにある。これからは、この新レンジをゴキちゃんの生まれ変わりだと思って大切に使っていこう。
読んでくれて、どうもありがとうw
kの行方なんかは、誰も知る必要がないw