10時半に起きた。しかし昨日の疲れがまだ残っているようにも思われる。なかなかの行程だった。よくやったものだと思う。
ぎりぎり朝食が食べられる時間だったので、食堂に行ってみた。
行ってみると、ただトーストが置いてあるだけである。しかし仕方がないので食べることにした。うらぶれたホステルで、うらぶれた食堂で、うらぶれた食パンをかじる。自分までうらぶれた人間になったようだ。
しかも部屋のベッドにはコンセントがなかった。これも仕方がないので同じ食堂でするが、充電がフルになるまで暇である。世界一周ブログを見ることにして、のんびりすることにした。また、さすがにあと2日もこのホステルに泊まりたくないので、別のホテルを予約することにした。完了。
午後になり、昼食がてらぶらぶらすることにした。
シンガポールについて、全く知識はない。あるとすれば、アジアの中でのお金持ちの国、というくらいだろうか。あとはマーライオン。この知識ではないも当然である。あてもなくぶらつくことにした。
昼食を食べ、マリーナベイサンズに向かった。なるほど、超高層ビルの上に船が乗っている。豪勢なものだ。中も多少入ってみたが、売り物の桁が違いすぎる。カジノ以外に用はないので、早々と退散した。
リトルインディアと呼ばれる、街に行くことにした。漢字では「小印度」と書くらしい。そのままである。漢字は見ているだけで意味がわかるのがおもしろい。
しかし。。。
地下鉄を乗り継ぎ、上への階段を上がったとたんスコールである。早くも出鼻をくじかれてしまった。これも仕方がないので、雨を見ながら待つことにした。今日は「仕方がない」続きだな。
スコールは悪くないのだが、できれば景色は自然であってほしい。駅から見えるのはビルなので、いまひとつスコールに合わない。だんだん飽きてきた。しかし、私はついていない日の真っただ中にいることをまだ、わかってなかった。
マリーナベイサンズにもどり、建物の中で再度うろうろしてみたがやはりおもしろくない。もうホステルに戻ることにして、いざホテルの最寄り駅に着くと雨がやんだ。散々である。
ホステルに戻り、シャワーでも浴びて休憩しよう。そのために石鹸を買わなければ。
そこで最寄りのコンビニに入ろうとしたら、1時間休憩でクローズとある。これもまた待つしかない。本当に、いろいろとかみ合わないと思った。もう今日はそうだと思って何もかもあきらめるしかない。今日はそんな日なのだ。うまくいかない日は、あしたがんばろう。そう考えるとちょっと楽になれる。
しばし休憩をとり、夜のシンガポールに出かけた。このホステルのまわりがベイクォーターと呼ばれ、繁華街らしい。歩き回ってみることにした。
やはり「罰金の国」と言われるだけあって、街並みも美しく、治安もいいようだ。当てもなく歩き、KLのそれに似たライブをやっている店があったので入った。
ここの世界各国から人が集まっているようで、多種多様な人種がいた。とりわけ、働いている人間はベトナム人が多かった。おそらく、KLやシンガポールに来て、稼いで帰っていくのだろう。すぐ近くの国で陸の国境もある国々なのに、こうも経済の差があるのはなぜなのだろうか。
「カム オン」
私がベトナム語でありがとうと言うと、店員のベトナムの若い女性がすこしびっくりして、
「なんで知ってるの!?」
と聞いてきた。それでベトナムの旅の話を少しして、乾杯(モッハイバーヨー)とか、いくら(バオニューエティエン)とか言っていたら、笑っていた。
調子に乗った私は、飲み物を受け取った時、
「カム オン チー」
と言ってみた。ベトナムにはチーとかアインとかいう、年下、年上の男性女性にそれぞれ呼びかける言葉があるらしく、それを使うとより言葉が丁寧になるそうだ。日本語にはあまり見当たらないが、英語だとhey man とか、thank you sweetie みたいな感じだろうか。
自慢げに言った私だったが。
「チーは男性への言葉。わたしは女だからアインが正解」
みたいな感じで、あっさりと知識のなさがばれてしまった。もちろん笑いながら。
私は現地の言葉を話すのが好きだから、ベトナムではたくさんの言葉を覚え、教えてもらった。それが記憶に残り、ここでも生かすことができた。思いもよらない形で、過去の経験が生きることがある。確実に物事はリンクしているのだ。
そう考えた時、たとえ目標や希望がなかったとしても、一日一日、その瞬間を全力で大切にしていきたいな、と思った。なぜならそのとき頑張った「何か」は、未来の「何か」に間違いなくつながっていくはずだからだ。
「何も咲かない つらい日は 下へ下へと 根を伸ばせ やがて大きな 花が咲く」
とりあえず、今私にできることはきっと根を張ることなのだ。強く頑丈なそれを。たとえ日々が永遠に続く敗北だったとしても。。。
音楽とビールでいい気分になってくる。ふと横を見るとビリヤード台があり、壁に使用上の注意が書いてある。
ーていねいにキューを使うこと。
―近くの人にぶつからないようにすること。
-ライトセーバーとして使用しないこと。
-飲み物をラシャの上に置かないこと。
-なんたらかんたら
-うんたらかんたら
-前の人の記録を破ること!
-楽しむこと!
-スタッフへのチップを忘れずに!
とか2chみたいなツッコミを入れたくなった。
こういうユーモアをもって、これから生きていこうと思ったw